3人展ハガキ表

 水彩に本気を出し始めて4,5年、初めて公募展なるものに出品したのが一昨年の2014年。
 その時からお絵描きが人生の中心にドカッと腰を据えることになってしまった。

 そして一種の偶然から3人展が企画されて、あれよという間に、2016年5月17日に至る。

 アクリルと水彩と油彩の3つのカテゴリーが小さなギャラリーの一室に同居するのは、それぞれの作者の個性を際立たせて、想像していた以上にオモシロイ試みであった。

 このギャラリー風の門(滋賀県草津市)は、事実上、地元の美術関係者の交流の核となっているように思う。今回の三人展でも様々な人が訪れてくれた。
画廊のお得意様であるMさんは、展示替えがあるたびにいちばんにやってきて、「これ」と指をさして作品を購入してくれる。
今回の私の作品も、そのようにして2点購入いただいた。
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 講師をやっているTさんが常連のSさんと話をしている。Tさんを知らないNさんは「あなたも絵を描いておられるんですか」と聞いて、あとで大笑いになったり。

 初対面の来訪者に「私の妹が京都で画廊をやってまして」というと、「あ、そこよく知ってますよ」という反応が返ったり、義理の弟はデザイナーでと言うと、「彼に仕事を頼んでますよ」という人が来てみたり。

 出品者3人のそれぞれの知人、友人、関係者が入れ代わり立ち代わりやってくる。
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 出品者Iさんの桜の作品はいろんな人が注目し、講師クラスの人は「ここをこうすれば」とか「こうやればもっとよくなる」とか様々なサゼッションを残していく。
 それがまた、人によりまったく正反対の意見だったりして、すべてを受け入れれば矛盾してしまうのを、果たして作者はどう受け止めるのか、このあとの作品にどう反映されるのか、それも楽しみだ。

 会期は火曜から日曜までの6日間だった。
 土曜日には、画廊内でミニパーティをやろうということで、ワインや軽食、お菓子を持ち込み、雑談に花を咲かせた。
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 ごくごく短いたった6日間の三人展だったのに、終わってみるとなんだかぐったりしている自分を感じた。
 体力的なことではまったくない。おそらくは、会う人ごとに交わす会話、お絵かき談義が非常に濃厚だったからに相違ないと今にして思う。

 おおかた8割ぐらいの時間在廊していた。絵に囲まれ絵の話にどっぷり浸かるという、美術好きの人間にとっては極楽といってよい環境だったのではないか。

 もともと今回の3人は、互いにほとんど面識もなかった。
 それをうまく結びつけたのは画廊の担当者Hさんだ。人は彼女を「陰のオーナー」と呼ぶ。
 彼女のおかげで、自然には絶対に生じることのなかった3人の集まりが奇跡のように実現してしまった。
 そんな不思議な感慨に、いま浸っている。